研究課題/領域番号 |
19590318
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
富永 眞一 自治医科大学, 医学部, 教授 (70155571)
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研究分担者 |
柳澤 健 自治医科大学, 医学部, 教授 (50182366)
太田 聡 自治医科大学, 医学部, 助教 (40528428)
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キーワード | アレルギー・ぜんそく / シグナル伝達 / タンパク質 / 糖鎖 / 免疫学 |
研究概要 |
ヒトST2の機能部位を検討するとともにST2の未知の機能を明らかにするため、以下の解析を行った。 【ST2の機能部位の解析】 分泌型ST2タンパク質の機能部位を特定するため、まず、野生型ST2と糖鎖が結合できない変異体の発現ベクターをHEK293細胞にトランスフェクションし、各タンパク質の発現を試みた。発現を確認した野生型と変異体についてアフィニティークロマトグラフィーによる精製を試み、高純度のST2タンパク質を得ることに成功した。変異体の機能を解析するため、変異体をLPS刺激したTHP-1細胞に作用させたところ、野生型では観察されるST2による炎症性サイトカインIL-6の分泌の阻害が減少することを見いだした。以上の結果からST2の糖鎖構造がST2の機能に必要であることが示唆された。 【血管内皮細胞におけるIL-33/ST2L系の発現と作用の解析】 ST2の非免疫系細胞での機能を解析するため、まず、非免疫系の細胞である血管内皮細胞におけるST2遺伝子の発現様式を検討した。血管内皮細胞に増殖刺激を加えたところ、ST2遺伝子の発現は分泌型ST2と受容型ST2Lの双方とも増加し、一方、分化誘導した細胞では、双方ともに発現は著しく低下した。ST2LのリガンドであるIL-33を内皮細胞に作用させたところ、細胞の増殖、分化への影響はなかったが、免疫細胞においてIL-33シグナル経路の下流に位置することが報告されているMAPキナーゼのERK1/2が活性化し、また、炎症性サイトカインIL-6とIL-8の産生が増加した。これらのことから、血管内皮細胞では、増殖刺激により発現が増加したST2LにIL-33が作用し炎症を増大させることが示唆された。以上の成果は投稿論文として発表するに至った(Mol. Cell. Biochem. 335 : 75-81, 2010)。
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