研究課題/領域番号 |
19590323
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
山本 英幸 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (70373529)
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研究分担者 |
西崎 知之 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (00221474)
永田 徹 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (60131588)
矢口 貴博 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (30434947)
菅野 武史 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (20434946)
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キーワード | 分子腫瘍学 / 悪性中皮腫 |
研究概要 |
悪性中皮腫の診断・治療法の確立を実現化するため、我々は癌細胞の発生、増殖、移動、浸潤に深く関与する事が示唆されている遺伝子群に着目し、6種類の悪性中皮腫細胞株においてPDGFd(血小板由来増殖因子d)の発現量が著しく増加している事を明らかにしているが、この因子は不活性型のタンパク質として合成されuPA(ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクティベーター)による切断を受けて活性化型に変換される事が知られている。我々はミラクリッド(持田製薬:Urinary Trypsin Inhibitor)が転写レベルでuPAタンパク質の量を減少させる事でuPA-uPA受容体の形成を阻害し、その結果としてPDGFdの活性化が起こらないという仮説を立てるに至った。この事は、これまで急性膵炎に対する治療薬として使用されてミラクリッドが悪性中皮腫に対しても有効である事のみならず、3種類のスプライス・バリアントが存在するuPA受容体タンパク質の特性を考慮に入れる事により、uPA-uPA受容体ヘテロダイマーを標的とした副作用の少ない新規薬剤開発が可能である事を明らかにした。さらに我々はPDGFdがアンジオテンシンIIによって転写が制御されている事に着目し、近年心筋梗塞後の心臓に対する保護作用などが着目を浴びているACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害薬やARB(アンジオテンシンII受容体阻害薬)が悪性中皮腫の増殖抑制効果を持つ可能性に関してさらなる解析を進めており、ACE阻害薬およびARBを悪性中皮腫に対して投与するといった新しい治療法の開発に着手した。
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