研究課題/領域番号 |
19590329
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所) |
研究代表者 |
井上 正宏 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所), 研究所, 総括研究員 (10342990)
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研究分担者 |
遠藤 洋子 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所), 研究所, 研究員 (20359300)
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キーワード | IGF / PI3K / mTOR / 低酸素 / 細胞死 |
研究概要 |
臨床腫瘍において低酸素領域が悪性化や治療抵抗性に重要な役割を演じていることは既に明らかにされているが、未だ低酸素領域を標的とした有効な治療法は確立されていない。本研究は、低酸素領域を標的とした治療法を開発するための基盤となる、癌細胞の低酸素耐性の分子機構を解明することを目的としている。具体的には、IGF/PI3K/mTORシグナルの環境に応じたON/OFF切替え機構の重要性を明らかにする。平成19年度は、低酸素で誘導されるIGFBPが、IGF/PI3K/mTORシグナル抑制と低酸素耐性に関与していることを明らかにすることを試みた。既に確立した低酸素下でIGF刺激によりアポトーシスする系を用いて、低酸素暴露細胞をIGFBP結合能のない組み換えIGF-1(DES-IGF1あるいはLONG-IGF1)で刺激した場合の細胞死誘導を野生型IGF-1と比較したところ、IGFBP結合能がないIGF-1の細胞死誘導効果が有意に高かった。さらに、内因性のIGFBPの低酸素耐性における役割を明らかにするためにIGFBP-1,3をRNA interference法を用いて発現抑制し、低酸素での細胞死を検討した。 IBFBP-3発現の低下によりIGFで誘導される細胞死は増強した。以上から、分泌されたIGFBPがIGF刺激を緩衝して細胞死を回避していると結論した(論文投稿中)。IGFシグナルが酸素濃度によって機能を変えること、その調節にIGFBPの分泌が関与していることが明らかになったことは、今後のがんにおける低酸素耐性研究、およびそれを標的とした治療法の開発を行う上で重要である。
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