研究概要 |
疾患への感受性・抵抗性には個体差があるが、ことに個体の免疫応答性には大きな個体差があり、この個体差の形成には環境要因と遺伝要因の両者が関与する。本研究では、NKレセプター、ことにNKG2レセプター群とそのリガンドに着目し、炎症性疾患や自己免疫疾患との関連を解明することを目的とする。本年度は日本人一般集団における上記遺伝子群のゲノム多様性の分布について検討した。1.NKG2遺伝子座内に設定した4種のマイクロサテライトマーカーについて、それぞれ6〜12種のアリルを検出した。2.ULBP/RAET1遺伝子領域に設定した5種のマイクロサテライトマーカーにおいて6〜11種のアリルが検出された。3.ULBP/RAET1遺伝子群についてエクソン2-3内の多型検索を行い、ULBP1,ULBP2,ULBP3,RAET1Lの4遺伝子について、既知の4種に加えて新たに4種の塩基多型を見出した。4.上記で検出したマイクロサテライト多型と塩基多型により構成されるハプロタイプの推定を行なった。アミノ酸の置換を伴う5種の遺伝子多型については、今後各種疾患との関連解析を予定している。また、塩基配列データベースの検索により、ULBP1,ULBP2,ULBP3,RAET1L,RAET1G遺伝子の各プロモーター領域では、転写因子結合部位をコードする複数の配列が遺伝子間で共有されることが明らかとなったため、次年度はこれら遺伝子のプロモーター領域塩基配列多型の検索を行う。
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