研究概要 |
(1)以前から継続中の、罹患同胞対法による全ゲノム解析の結果に基づいた、日本人2型糖尿病感受性SNPの同定に関しては、21番染色体上の連鎖の可能性が示唆された領域(LOD=2.42)について症例対照相関解析を行い、2つの有意なSNPを見出した。別の2セットのサンプルでさらに検討した結果、1個のSNPにおいてp=6.5x10-3,OR=1.87,p=4.9x10-3,OR=1.58と有意な再現性が確認された。このSNPはインスリン分泌に関連することが示され、risk alleleを有する症例はより早くインスリン治療に移行することが示された。また、risk alleleはmRNAレベルを上昇させた。細胞レベルで該当遺伝子発現を抑制するとインスリン分泌が改善し、インスリン分泌不全を示す糖尿病モデル動物においてsiRNAで本遺伝子の発現を抑制すると、インスリン分泌の回復と血糖の改善が有意に認められた(特許申請済み、現在投稿中)。 (2)常染色体優性遺伝を示す糖尿病(MODY)において、巨大欠失によるMODY5遺伝子全体の欠失例を見出した。また、膵体尾部欠損例においても同一領域の欠失を持った症例を同定した。このことから、巨大欠失のホットスポットが示唆された。マイクロアレイ解析では欠失を起こした部分にはゲノム反復配列が認められ、そのためにゲノム構造異常が生じやすいと考えられた。また、同領域の増幅例も同定した。 さらに、単独エクソンの欠失例や増幅例についても検討中である。
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