凍結材料を用いた研究では、中皮腫と肺腺癌の間で統計学的有意差を持って発現異常のみられる遺伝子のクラスター化を行い、中皮腫では肺腺癌と比較して、231遺伝子の過剰発現、64遺伝子の発現低下が見られた。これらの遺伝子の中でReal Time定量RT-PCR法にて、NDRG-1、RARRES-1及びHAS-1遺伝子のmRNAの発現が非腫瘍肺組織と比べ中皮腫には過剰であることが判明した。また、Wnt-signal経路に関する遺伝子では、WIF1、MMP7、β-cateninなどの発現低下とCaM kinase、Nemo-like Kinaseなどの過剰発現を認めた。 FFPE材料を用いた研究では、中皮腫と非腫瘍肺組織の間で統計学的に有意差をもって発現異常の見られる遺伝子のクラスター化を行い、中皮腫では266遺伝子の過剰発現と948遺伝子の発現低下があることが判明した。過剰発現のある遺伝子には、Calbindin2 (Calretinin)、Keratin5、PDGF、Ki-67などが含まれ、ホルマリン固定パラフィン包埋材料からでも十分に遺伝子異常の有無を検討できることがわかった。 Real Time定量RT-PCRについては、現在なお研究進行中である。
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