研究課題/領域番号 |
19590357
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
田村 保明 札幌医科大学, 医学部, 講師 (80322329)
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研究分担者 |
佐藤 昇志 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50158937)
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キーワード | Hsp90 / 癌抗原 / サバイビン / DNAワクチン / 細胞傷害性T細胞 / シグナルシークエンス / 抗原提示細胞 / 樹状細胞 |
研究概要 |
[目的]昨年度は、Hsp90-マウス癌抗原サバイビン遺伝子融合遺伝子ワクチンの有効性を検証した。本年度は、癌抗原の抗原提示細胞による取り込みと抗原提示を促進する目的で、シグナルシークエンス(SS)をN末端側に付加し、分泌型としたHsp90-サバイビン融合遺伝子ワクチンの有効性を検討した。その際、癌抗原サバイビンをHsp90のN末端側(SS-Sur-Hsp90)あるいはC末端側(SS-Hsp90-Sur)に融合した場合の、免疫効果を比較検討した。[結果と考察]シグナルシークエンスを付加した、SS-Sur-Hsp90およびSS-Hsp90-Surはいずれも細胞外に分泌されることをWestern blottingにて確認した。これらの融合遺伝子を2回ワクチンしたのち、サバイビンを発現しているマウスリンパ腫細胞A20および、腎細胞癌株RenCaを接種した。非常に興味深いことに、いずれの腫瘍においてもHsp90のN末端側に抗原を配置したSS-Sur-Hsp90の遺伝子ワクチンでは強い抗腫瘍効果を認めたが、C末端側に配置したSS-Hsp90-Surでは全く抗腫瘍効果を認めなかった。またシグナルシークエンスを付加していないSur-Hsp90遺伝子ワクチンと比較すると、高い抗腫瘍効果を示した。またSS-Sur-Hsp90融合遺伝子ワクチンで免疫されたマウスでは有意なサバイビン特異的CTLが誘導されていた。この抗腫瘍効果がサバイビンに対するCTL誘導によることを示すものと考えられた。以上の結果はHsp90のC末端側が樹状細胞をはじめとする抗原提示細胞による取り込みに際して非常に重要である可能性を示唆しているものと考えられる。今後Hsp90のdeletion mutant遺伝子を作成して、C末端側の意義について明らかにする予定である。
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