研究課題
本研究は前立腺癌の立体構築を解析することで、前立腺癌の組織多様性と多発性について検討することを目的としている。9例の前立腺癌全摘症例を用いて、三次元再構築ソフトウエアで解析したところ、gradeの高い病巣について、de novoに発生する箇所と、gradeの低い領域と連続してprogressionがうかがえる箇所を選別した。しかし、grade別に有意に特徴的な病巣の立体的形状は確認できなかった。また、二次元切片では連続性と考えられた病巣が実際には単発性の多発病巣であったり、多発していると考えられた病巣が一部連続していた箇所を新たに確認した。特に二次元切片では連続性と考えられた病巣が実際は単発性の多発病巣であった領域については、多数の癌病巣間で核配列の乱れを伴った不規則に拡張するPIN様の腺管の介在が目立っ症例を認めた。これらの病変について、染色体6qのLORを検討したが、単発と連続性病変を識別しうる有意の領域は見出されなかった。代表的な2症例を用いて、標本ブロックから単発腫瘍巣の1ヶ所と連続病変の異なる部位である2ヶ所を採取してtotal RNAを抽出した後、DNA microarray法により遺伝子変異を網羅的に解析した。解析した遺伝子群はホルマリン固定後の標本を用いたため、凍結標本から得られる情報よりはるかに減少していたものの、連続病変の異なる2ヶ所における遺伝子変異は共通しているものが多く、単発性病変とは変異パターンが異なっていた。差異のある遺伝子群は87種あり、発癌に関わるものは、71遺伝子あり、免疫組織学的に抗体が利用できる遺伝子は5種であった。今後、これらの遺伝子が単発、多発に関わるか否かの解析を行ってゆく。
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