研究概要 |
1.材料蒐集は終了した。即ち、胃癌・結腸癌それぞれ180例ずつ蒐集し、全組織パラフィンブロックを薄切した。胃癌組織については、HE-Victoria青重染色も終了した。 2.早期結腸癌症例については、リンパ節転移に対する組織学的規定因子の解析が終了した。LYVE-1陽性のリンパ管への侵襲及び腫瘍先進部のbudding形成の2因子が、独立したリンパ節転移の危険因子であった。しかし、腫瘍先進部におけるclaudin-3,claudin-4,β-cateninの発現程度は、リンパ節転移との有意な関連がなかった。これら接着因子は、低分化な癌細胞では発現が少なく、間質浸潤部や脈管侵襲部でも発現の低下を認めた。この成果は、Cancer2008;112:924-933に掲載された。 3.胃癌症例については、免疫染色も終了し、組織学的解析を行っている。一部は、統計学的解析も終わり、平成20年5月の日本病理学会総会でその成果を発表予定である。腫瘍先進部でのMMP-1発現程度は、リンパ節転移の有無に有意に関連しており、claudin-3、claudin-4、β-cateninは有意に低分化型腺癌での発現低下を認めた。また、脈管侵襲部では、MMP-1及びMMP-2発現が高度であった。多変量解析では、リンパ管侵襲、腫瘍径、MMP-1発現程度がリンパ節転移の組織学的規定因子であった。 4.結腸癌症例については、現在、免疫染色中であるが、染色終了したものから順次、観察している。LYVE-1及びvWF抗体を使用した免疫染色はほぼ終了した。
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