左冠状動脈前下行枝にみられる心筋架橋が同動脈の動脈硬化及び心筋虚血の発生に及ぼす意義につき、心筋梗塞100例を含む総計300例の剖検心をもとに、組織計測学的に 病理組織学的に検討した。心筋架橋に被覆された部位の冠状動脈硬化の抑制がみられるほか、心筋架橋を構成する心筋の容量が大きいと、心筋架橋部より近位側の冠状動脈には硬化性病変の増強がみられ、又、動脈硬化の好発部位も、冠状動脈入口部に向かって、2cm近位に変位しており、これらの結果、心筋架橋を構成する心筋の容量が大きいと、心筋梗塞が有意に高頻度に発生していた。即ち、心筋架橋が大きいと、これ自体が、独立して、心筋架橋の解剖学的危険因子となることが判明した。
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