研究概要 |
肺扁平上皮癌の浸潤性増殖制御を目指した分子標的治療法の確立のための新たな標的分子の選定を目標とし、予備実験データから肺扁平上皮癌細胞のepithelial-mesenchymal transition(EMT)に深く関わることが推定されるhighmobility group A-2(HMGA2)遺伝子に着目し、その発現誘導に関わる遺伝子群とHMGA2により扁平上皮癌細胞内で活性化されるパスウェイを選別し、肺扁平上皮癌進展におけるHMGA2を介したEMTの分子機構を明らかにすることを目的に研究を行った。 1.浸潤性の異なる扁平上皮癌組織における浸潤先端部近傍の反応性間質部のcDNAアレイ法を用いたトランスクリプトームの比較解析から、サイトカイン、ケモカイン、増殖因子、タンパク分解酵素を含む約30遺伝子が選別された。 2.HMGA2高発現部の扁平上皮癌細胞のトランスクリプトーム解析では、細胞接着分子、細胞骨格、タンパク分解酵素、細胞内シグナル伝達分子を含む約20遺伝子の発現変化が選別された。 1,2の結果の統合解析からHMGA2のtransforming growth factor β(TGFβ)/TGFβ-R/Smads系との関連が強く示唆され、確認実験を進めている。
|