研究概要 |
遺伝子多型解析 Estrogen receptor-β(ER-β)遺伝子(ESR2)のCA repeat長多型と種々の老年病との関係を調べた。CArepeat長25以上のalleleを有する高齢者では有意に高頻度にアルッハイマー病の発症が見られ、これは、性、年齢、ApoE遺伝子多型等、確立されたアルッハイマー病発症予測因子を考慮した多変量解析を行っても独立した発症予測因子であった。特にESR2,CA repeat長のアルツハイマー病発症予測因子としての重要性は女性で際立っていた。アルッハイマー病は女性に有意に発症頻度が高く、また従来、estrogenとの関係が指摘されていた疾患であるが、今回の結果は、ESR2,CA repeat長多型が女性におけるアルツハイマー病の発症に関与している可能性を示唆するものである。 脳の免疫組織化学的検索 20年度に行う脳のmRNA解析に用いる部位の選択もかね、アルッハイマー病13例および対照12例、計25例を対象に、脳の5部位について、ER-α,ER-β1(ER-β,wild type),ER-β2(ER-βのisotypeの一つ),progesterone receptor (PR),androgen receptor (AR),aromataseの免疫染色を行った。ER-α,PR,ARについては免疫組織化学レベルでの検出は困難であることがわかり、20年度のmRNA解析に期待することとした。前頭葉および扁桃体について観察したところ、アルツハイマー病ではER-βの発現が低い傾向にあり、aromataseは逆の傾向にあった。これらの結果および虚血等の影響の少なさ、そして構造の単純さなどを考慮し、mRNA解析には前頭葉を用いることとした。
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