研究概要 |
1.マウス関節滑膜細胞株の樹立とその解析 滑膜組織由来の間葉系細胞株のクローンを関節炎発症型マウス;gp130F759より15クローン、pX-トランスジェニック(Tg)/gD130F759より8クローン、そして対照.野生型マウスより20クローン作成した。これらの表面抗原は、CD45,CD31,CDllb陰性、CD44,CI106,CD157陽性であり骨髄間質細胞と似ていた。またその増殖は接触阻害を受けるので、1〜2週間安定したフィーダー細胞として機能しうると考えられた。pX-Tg/gpl30F759の関節滑膜培養からは、間質細胸よりはマクロファージに近い形態でCD11bを発現する紬胞も認められたのでクローン化を試みている。これらの細胞株は、関節滑膜を構成する細胞の系譜や機能の解析に有用であり、さらなる細胞株の樹立と詳細な解析を継続する。 2.マウス関節滑膜細胞株の血液細胞制御機能の解析 樹立した滑膜細胞株の形態と表面抗原が骨髄間質細胞と類似していたことから、機能として血液細胞の分化支持能に的を絞り、pX-Tg/gp130F759由来の滑膜細胞を用いて予備実験を行った。96ウエルプレートにpX-Tg/gp130F759由来の滑膜細胞を蒔き込み一定期間培養した後に、野生型マウスの骨髄細胞を1ウエルあたり100,50,10個ずつ蒔き込んだ。1凋間後には、CDllb陽性細胞のコロニーが出現した。頻度は揺かに少ないもののCD19陽性細胞コロニーを含むウエルも認められた。この結果は、pX-Tg/gp130F759由来の滑膜細胞が骨髄系細胞の造血支持能を有することを示唆する。対照野生型の滑膜細胞およびST2やPA6といった確立された骨髄間質細胞と対比することにより、滑膜細胞の機能異常を造血支持能から評価し、その分子機構の解明および関節炎発症における影響を解析できる可能性が開けたと言える。
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