研究課題
我々はこれまでに、膠原病疾患モデルマウスの疾患感受性を規定する候補遺伝子として同定され、その中で構造遺伝子多型に基づく蛋白多型を持つ因子、オステオポンチン(Opn)に関し、コムギ胚芽を用いた無細胞蛋白合成システムにより多型蛋白を合成し、それぞれの蛋白の構造・機能に差異があることを明らかにしてきた。最近申請者らは疾患好発系と嫌発系のアレル間にみられる10ヵ所のアミノ酸多型のうち特定の一ヵ所が、少なくとも炎症誘導能に関する機能的差異を規定していることを突き止めた。そこで、本研究では、Opnの蛋白多型に基づく機能部位を特異的に阻害する蛋白による膠原病治療モデルの確立を目的として今年度は以下の研究を遂行した。1.MRL型とC3H型のOpnの立体構造の差異のNMR分光法による解明 安定同位体で標識したMRL型とC3H型のOpnをコムギ胚系を用いた無細胞蛋白合成システムで合成し、NMRによる立体構造解析を行った。2.インテグリンヘテロ二量体との結合に必須なアミノ酸を網羅的に同定するための1アミノ酸置換Opnの小麦胚芽無細胞系による発現系の作製とタンパク質大量合成 インテグリンヘテロ二量体との結合領域のアミノ酸を1アミノ酸人工的に置換したOpnを網羅的に設計し、小麦胚芽を用いた無細胞蛋白合成システムを用いて大量合成をおこなった。3.Opn蛋白機能的結合部位阻害蛋白の設計 上記で導き出した立体構造情報をもとに、蛋白構造予測ソフトを用いて、阻害蛋白として可能性がありそうな配列を数個、候補として抽出した。さらに、この配列部分にある種の糖脂質が結合する可能性も見出した。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
Scandinavian Journal of Immunology 66
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