研究課題/領域番号 |
19590395
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岡野 慎士 九州大学, 大学病院, 臨床助教 (10380429)
|
研究分担者 |
中川 和憲 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (50217668)
古賀 孝臣 九州大学, 大学病院, 講師 (70380615)
居石 克夫 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (70108710)
|
キーワード | 癌 / 病理学 / 免疫学 / 樹状細胞 / 線維芽細胞 |
研究概要 |
強力な腫瘍特異的免疫応答を惹起し抗腫瘍効果を発揮する活性化樹状細胞腫瘍内投与療法(ITADT)における免疫学的機序解明並びに腫瘍内微小環境、特に腫瘍内樹状細胞と腫瘍内線維芽細胞に着目し、宿主免疫応答と腫瘍の免疫応答制御システムの交互作用解明を目的として、以下の点について明らかにした。 1.血球系を野生型に置換したリンパ節欠損マウス(NIK^<aly/aly>)を用いたマウス悪性黒色腫皮下接種治療実験にて、ITADTの抗腫瘍効果はリンパ節に完全に依存すること、腫瘍再接種時の拒絶応答は脾臓に存在するメモリーT細胞ではなく、所属リンパ節に存在するメモリーT細胞が重要であることを見出し、腫瘍免疫療法における所属リンパ節の重要性が免疫応答の誘導期のみならず、メモリー応答時にも重要であることを見出した。本研究結果は、現在臨床で施行ざれている腫瘍免疫療法の所属リンパ節の重要性を立証する成果であり、有効な抗腫瘍効果の実現のために、腫瘍が存在する所属リンパ節を標的とすることが重要であることを示唆するものである。2.ITADTの樹状細胞のソース拡大を目的とし、大腸癌株及び悪性黒色腫株を用いたマウスモデルにおいて、MHCが完全に異なるfully allogenic DC及び半分が一致するsemiallogenic DCを用いた研究から、前者は抗腫瘍効果牽惹起できないが、後者は抗腫瘍効果を惹起できること、また、機能的Fas欠損マウス由来のDCに至っては、前者でも同系のマウスと同等の抗腫瘍効果を発揮できることを見出した。本知見は、特に汎血球減少症及び小児の坦癌患者に対するDCのソース拡大が可能であることを示唆するとともに、腫瘍内樹状細胞カミ所属リンパ節での適応免疫活性化における抗原提示細胞として重要であることを示唆するものである。3.CT26大腸癌モデルを用いた解析により、ITADTにより、腫瘍内へ宿主由来の樹状細胞並びにIFN-gamma陽性のT細胞の動員、それと伴に投与樹状細胞周囲の腫瘍並びに線維芽細胞にIP-10の発現を高度に誘導し、T細胞依存性の血管新生抑制が惹起されることを見出した。
|