研究概要 |
ラット大腸発癌モデルでの大腸腫瘍の作製 5週齢雄F344ラットに20mg/kgのazoxymethan(AOM)を週1回の2回、皮下投与を行い大腸腫瘍を作製した。実験開始40週後に屠殺をした結果、腫瘍のincidenceは86.7%、multiplicityは2.62であった。摘出された腫瘍は、一部を凍結し残りをホルマリン固定後、パラフィンブロックを作製し組織学的な検討を行った。さらに、連続切片を作製しMuc1, Muc2, Cdx1, Cdx2, CD133, CD10などの発現を検討中である。凍結保存した腫瘍に関しては、 RNAを抽出を行いNotchシグナル、 Wntシグナル経路に関連した遺伝子群の発現状態を検討中である。 ヒト大腸粘膜におけるMDFの検出とその分布形式に関する検討 前年度の31症例の大腸非腫瘍部粘膜に加え今年度の30症例を加えて粘液枯渇巣(MDF)、大腸陰窩変異巣(ACF)及び両者がオーバーラップする病変(OLL)の検出と分様式に関する検討を行った。その結果、MDF,ACF及びOLLの出現率は、それぞれ38.9%,85.3%,23%であった。また、各病変の100cm^2当たりの平均出現数は、MDFが1.94個、ACFが6.25個、OLLが1.36個であった。分布様式は、上行結腸部、横行結腸部、左側大腸部(下行結腸、S状結腸、直腸)の3カ所に関して検討を行った。その結果、MDF, ACF及びOLL共に左側大腸部にそれぞれ85.4%,87.1%,80%と高い割合で認められる傾向を示し3病変の分布様式に違いは認められなかった。
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