研究課題/領域番号 |
19590400
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
二口 充 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (60275120)
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研究分担者 |
白井 智之 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60080066)
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キーワード | 前立腺癌 / 骨転移 / TGF-beta / MMP13 / 骨微小環境 / 腫瘍・間質相互作用 / プロテアーゼ / 骨芽細胞 |
研究概要 |
我々はこれまでに、前立腺癌の骨転移巣では溶骨性変化に伴い骨基質から放出されるTGF-βが骨転移巣の進展を促進することを見いだした。本研究ではTGF-βがプロテアーゼにより活性化後にシグナルが細胞内へと伝達されることに着目し、rat collagenase 3(MMP13)が骨微小環境でのTGF-βの活性化すると仮説を立てて実験を行った。【方法と結果】我々の開発した動物モデルを用いて、ラット前立腺癌が溶骨・造骨性変化を伴い増殖する組織像が観察される骨浸潤先進部と、対照として非浸潤部から蛋白を抽出したところ、TGF-βの量は骨浸潤先進部で有意に上昇していた。MMP13免疫染色を行ったところ、骨芽細胞にMMP13陽性であった。また、MMP13に特異的な基質を用いて骨浸潤先進部および非浸潤部の酵素活性を測定したところ、骨浸潤先進部におけるMMP13の酵素活性は非浸潤部に比べて有意に上昇していた。さらに、MMP13の阻害作用をもつONO4817を投与した結果、骨浸潤先進部における活性型TGF-βの濃度が減少し、破骨細胞の誘導の抑制と、溶骨性変化の抑制が観察された。 【結論】前立腺癌が増殖する骨微小環境では、骨芽細胞由来のMMP13が、骨基質から遊離した潜在型TGF-βを活性化し、破骨細胞にTGF-βシグナルが伝達され、溶骨性変化が進展することが示された。
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