研究課題/領域番号 |
19590404
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
望月 早月 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (80365428)
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研究分担者 |
岡田 保典 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00115221)
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キーワード | ADAM / von Willebrand factor / 癌浸潤・転移 / ADAMTS / アポトーシス / Yeast two-hybrid法 / 癌細胞の増殖 / 細胞外マトリックス |
研究概要 |
ADAM(a disintegrin and metalloproteinase)は、細胞外マトリックスの分解、膜蛋白のshedding、細胞接着などに関わる多機能分子である。我々の研究から、ADAM28はヒト癌細胞の増殖・浸潤・転移と相関することが明らかとなっているが、ADAM28による癌細胞浸潤・転移機構に関しては不明な点が多い。本研究では、yeast two-hybrid法を用いてADAM28の結合蛋白質と新規基質を網羅的に探索し、癌細胞浸潤・転移への関与を検討した。 Yeast two-hybrid法により、ADAM28と相互作用する候補蛋白質としてvon Willebrand factor(vWF)を見出した。125I-proADAM28を用いたbingdingアッセイによりproADAM28はvWFと特異的に結合し、活性型ADAM28はvWFマルチマー分解活性を示した。ADAM28は、vWF分解酵素であるADAMTS-13の蛍光基質(FRETS-vWF73)を分解せず、vWF分解パターンも異なることから、ADAMTS-13とは別の部位で切断すると考えられた。活性型ADAM28で処理したvWFは、コラーゲンとの結合能が著しく低下し、vWFマルチマー分解による機能低下が認められた。一方、ADAM28を高発現する肺癌細胞株と非発現細胞株を用いてvWFによるアポトーシスを検討したところ、ADAM28発現細胞株ではアポトーシスが抑制された。以上のことより、ADAM28高発現癌細胞は、ADAM28によるvWF分解を通して、vWF誘導性の癌細胞アポトーシスを抑制し、癌細胞の浸潤・転移促進に働く可能性が示唆された。
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