研究概要 |
2種類のmicroRNA(以下miRNA)をひろくユビキタスに発現するプロモーターであるCAGを用いて、それぞれ単独あるいはオワンクラゲ蛍光物質であるGFPの遺伝子との融合遺伝子にして、トランスジェニックマウスを作成して、強く発現をする系統をそれぞれ2系統、計8系統をライン化することに成功した。発現は特に腸管や脂肪細胞など内在性の発現が強い組織で強く、その他、脳、腎臓、筋肉、肝臓、皮膚などでも異所的に強い発現が認められた。また、GFPとの融合遺伝子のトランスジェニックマウスは、個体を蛍光実体顕微鏡下で観察すると緑色に発色し、DNAを採取しなくても遺伝子型を確認することができた。また、miRNA発現組織は蛍光実体顕微鏡下で緑色に発色し、ノザンブロット解析でもmiRNAとGFPの発現は強い相関を示した。これにより、miRNAの発現をGFPを指標にすることにより単細胞レベルで解析が可能になると思われる。既存のmiRNAとGFPの融合遺伝子トランスジェニックマウスの報告ではGFPの発現が弱く、指標として使用するには困難な例が多かったが、我々はコンストラクトを工夫することにより(Tsutsui et al,BBRC,372:856-861,2008),GFPの発現を個体でも視覚的に観察できるレベルまで高めることに成功した。 それらを現在C57BL/6Jに戻し交配をしているが、これらのマウスは正常に発育し、子孫を残すことができる。また最高50週まで観察しているが、外見上異常は見当たらない。 現在トランスジェニックマウスと発癌モデルマウスとを交配して、発癌におけるmiRNAの影響を検討中である。
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