研究概要 |
I.肝癌細胞に対するPEG-IFN-αと阻害剤(チロシンキナーゼ阻害剤[AG490]、NF-κB阻害剤[β-lactone]、COX-2阻害剤[celebrex])併用投与による増殖抑制効果のin vitroにおける追加検討。前年度の検討にCox-2阻害剤を含め更に詳細に検討した。11種類の肝癌株は、3種類の阻害剤単独接触により濃度依存性に増殖が抑制され、72時間接触後の50%増殖抑制濃度は、AG490が9.1-20.4nM、β-lactoneが3.1-64.8μM、celecoxibが12.6-39.2μMであった。本年度はPEG-IFN-αとの併用実験結果を示す。AG490との併用では、3株で相加作用、1株で相乗作用、5株で相殺作用、2株で軽度の相加あるいは相殺作用であった。β-lactoneとの併用では、6株で相加作用、3株で相乗作用、2株で相殺作用、2株で軽度の相加あるいは相殺作用であった。celecoxibとの併用では、5株で相加作用、6株で相殺作用であった。β-lactoneの併用応用の可能性が示された。 II.肝癌培養細胞のIFN-α誘導性細胞周期進行停止に関与する遺伝子の検討。マイクロアレイ解析でIFNによる細胞周期進行停止に関連性が深いと思われる5種類(CDK2, cyclinD, p16, p21, p27)の細胞周期関連蛋白の発現をreal-time PCR法を用いて6種類の肝癌株において検討した。その結果、PEG-IFN-α接触48時間後では、p21の発現が全ての細胞株で、p27の発現が1株でコントロール(IFN非接触)の2倍以上に上昇した。2株において、経時的に発現を検討すると、1株では、CDK-2やCyclinDの発現が接触後6時間で上昇していた。最終年度は、蛋白レベルの変化やその蛋白の機能・役割についての検討が必要である。
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