研究概要 |
1)ヒト肺がんで検出された染色体コピー数異常領域とシンテニーを示すマウス染色体領域の同定および同領域中のncRNA発現情報のFANTOMdatabaseからの抽出 研究分担者および諸外国の研究に基づき、ヒト肺がんにおけるホモ欠失領域及び遺伝子増幅領域の情報を文献的に確認した。これらのホモ欠失領域に存在する構造遺伝子を指標に、理研ゲノム総合科学センターのマウスFANTOMデーターベースの情報などから相応する領域を同定した。さらに同領域にマップされているncRNAを抽出した。特にその中でもmiRNAに注目し、最終的に6つの候補癌抑制miRNAを生物情報学的に同定した。また、いわゆるmRNA-like ncRNAを2つ同定し,正常肺組織で発現していることを確認した。 2)ホモ欠失領域にマップされたヒトncRNAのがん抑制能の検討 上記6種のmiRNAの模倣体をA549およびH1299という、2つのヒト肺がん細胞株に導入し、主に細胞増殖能を解析した。結果として2つのmiRNAが増殖抑制能を示した。この増殖抑制の程度は肺がんで既に知られている癌抑制miRNAであるLet-7による増殖抑制効果とそん色ない程度のものであった。2種のmiRNAが導入され、増殖が抑制された細胞株は形態学的には大きな変化は示さなかった。今後この増殖抑制が、細胞死の亢進によるものなのかそれとも細胞周期回転の停止によるものなのかを追究する予定である。さらにこれらmiRNAの標的である遺伝子群の同定を試みている。
|