研究課題
がんは増殖するために血管から栄養と酸素の供給が必要不可欠である。そこで、がんは血管新生因子を遊離して、血管内皮細胞に働きかけ、血管を新たに作っている。従って、がんの血管を壊せば、がんは死滅するため、血管新生阻害はがん治療の重要な標的である。それゆえ、血管新生阻害剤は、がんの増殖、浸潤および転移を抑制し、がん治療に非常に有効である。一方、インターロイキン27(IL-27)のがん血管新生阻害の機構はまだ解明されていない。我々が、IL-27はがん血管新生を強く阻害すると共に抗腫瘍免疫を増強して、抗腫瘍効果を誘導することを初めて明らかにした。更に、IL-27の副作用は非常に弱いことも示した。従ってIL-27はがん治療に最適なサイトカインである。本研究の目的はIL-27のがん血管新生阻害機構や抗がん免疫増強作用を解明した後、IL-27による新規がん治療法を確立することである。高転移性で低抗原性(悪性度が高い)Bl6F 10メラノーマやColon26大腸癌などのマウス実験腫瘍にIL-27 cDNAを遺伝子導入して、IL-27産生腫瘍を樹立した。これらの腫瘍を用いてIL-27の抗腫瘍作用機構を解析した。そこで、まず、IL-27の血管新生阻害作用にケモカインが関与するかどうかを検討した。IL-27産生腫瘍をマウスに移植後、腫瘍塊よりRNAを抽出して、RT-PCR法で解析すると、血管新生阻害ケモカインIP-10とMIGの産生が認められた。そこで、IP-10KOマウスにB16FlO+IL-27腫瘍を移植し、抗腫瘍作用を検討した。IP-10KOマウスでは抗腫瘍効果は若干低下した。さらに、IP-10KOマウスに抗MIG mAbを併用しても、抗腫瘍効果の低下は弱かった。従って、IL-27の抗腫瘍作用にはケモカインの関与は強くないと示唆された。IL-27は血管内皮細胞に対する増殖阻害作用や管腔形成阻害作用を示さなかった。
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