細胞内に寄生する原生動物(原虫)には、宿主に対して様々な病原性を示すものが多数存在する。鞭毛虫類に属するリーシュマニア原虫は、哺乳動物に寄生し、ヒトにも重篤な病害をもたらす。我々は以前、感染形態が異なるトリパノソーマ原虫について、実験をおこなったが、今年度の研究は、昨年度に引き続きリーシュマニア原虫感染を受けた宿主細胞側の感染期における細胞構築遺伝子の動きをマイクロアレイ法による解析でトリパノソーマとの差異を調べるために、解析用のサンプルを作成した。 培養細胞のサンプル作成: 昨年に引き続き、リーシュマニア原虫が実験的に感染できる、細網内皮系の細胞のマウス・マクロファージ細胞株(J774A.1)を、5%の炭酸ガスの下で37℃、10%のFCSを加えたRPMI1640培地で増やした。これを未感染のコントロール細胞として、細胞をISOGEN(ニッポンジーン)にて処理にRNAの単離をおこなった。 感染用リーシュマニア原虫の培養: 特に感染力の強いリーシュマニア原虫のLeishmania pannmensis株を用いて実験をおこなったが、原虫自体の増殖率が悪いため、今回はLeishmania amazonensis株をもちいて実験を進めた。原虫株は、10%加FCSのRPMI640培地にて27℃で4〜6日培養し、プロマスティゴート型原虫の増殖・培養をおこなう約1.0-2.0の×10^6個体の原虫を、培養皿(直径10cm)に増殖したJ774A。1細胞に加え、さらに8日間5%炭酸ガス、34℃で培養した後、RNAサンプルをISOGENにて、回収した。 これらの未感染細胞、感染細胞、原虫から単離したRNAを-80℃にストックして、現在、いろいろのステージのサンプルを準備し、BMRのマイクロアレイ受託解析を次年度に進めていく予定である。
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