研究概要 |
細胞内に寄生する原生動物(原虫)には、宿主に対して様々な病原性を示すものが多数存在する。鞭毛虫類に属するリーシュマニア原虫は、哺乳動物に寄生し、ヒトにも重篤な病害をもたらす。これらの細胞内寄生原虫は、宿主細胞に侵入するときに、原虫自身が備えている能動的な細胞侵入遺伝子機構や、逆に宿主細胞が持つ貪食機能を利用する受動的な侵入機構を利用すると考えられている。我々は、トリパノソーマ原虫において、原虫の感染時における宿主細胞の基礎的動態をマイクロアレイ解析により明らかにしてきた(lmai, et al., 2005)。今回、同じ鞭毛虫類であるリーシュマニア原虫とマクロファージ細胞を用いて、経時的に細胞内に侵入、増殖したLeishmania amazonensisのアマスティゴート型原虫を、顕微鏡で観察するとともに、宿主細胞の動態解析をcDNAマイクロアレイでおこなった。マウス・マクロファージ細胞株(J774A.1)の未感染細胞、原虫感染初期(4~5時間)、感染成立期(20~30時間)の感染宿主細胞および、プロマステイゴート型、アマスティゴート型(原虫感染細胞から物理的に細胞を破砕しアマスティゴート型原虫をPercollを用いて単離)からRNAを抽出し、ISOGEN(NIPPON GENE)試薬を用いて、Total RNAを分離した。さらに、RNeasyによりRNAの精製をおこなった。それらのサンプルをバイオマトリックス研究所において、オリゴマイクロアレイ(Agilent Technologies)(4X44K)1色法を用いて、約41,252個のプローブについて、解析した。その結果、原虫のcDNAの動きも考慮に入れて、宿主細胞の変動を観察することができた。
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