研究課題
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)は21種類の細胞壁架橋タンパク質を持ち、Protein Aやfibronectin-binding proteinやfibrinogen-binding proteinに対する定着因子として病原性に関与している。一方、細胞壁架橋タンパク質の一つであるSasGは典型的な細胞外マトリックスには結合しない。CGH解析によりSasGとその近傍に位置する病原性関連レギュレーターSarAパラログ(sarT,sarU)はヒト臨床分離株で検出されるものの、獣医領域で分離された黄色ブドウ球菌には検出されないとの報告があり、特徴的なレギュレーター・定着因子のセットを外来性に獲得している可能性が示唆されている。SasGは自己複合体を形成して菌凝集に関与し、加えて、マウス感染4日目の肝臓組織から回収した全RNAにおいてsarUおよびsasG遺伝子の転写増強が見られ、感染定着に特徴的な役割を担っている可能性が示唆された。SarAパラログ(SarS,SarT,SarU)によるsasG遺伝子の転写制御機構をゲルシフト・アッセイおよびDNase I Footprint法で解析したところ、SarSおよびSarTがsasG遺伝子上流領域の複数箇所に結合し、SarSは転写抑制、SarTは転写増強に直接関与していることが明らかになった。SarAパラログの転写制御クロストークがSasG遺伝子を正に転写調節し、SasG蛋白質による菌凝集が免疫回避に重要な役割を担っている可能性が示唆された。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (2件)
Biochem Biophys Res Commun. 377
ページ: 1102-1106
J Biol Chem. 283
ページ: 28649-28659
Biochem Biophys Res Commun. 374
ページ: 237-241
Acta Crystallogr Sect F Struct Biol Cryst Commun. 64
ページ: 512-515