研究課題
結核菌野生株H37RvとRD1遺伝子領域欠損株H37RvΔRD1感染後のサイトカイン産生応答を比較したところ、H37Rv刺激に比較してH37Rv ΔRD1刺激後のIL-18およびIL-1β産生が著しく低いことが示された。H37RvとH37RvΔRD1の感染ではIL-18およびIL-1βmRNAの発現は同程度に誘導されたが、カスパーゼ1の活性化はH37Rv感染においてのみ認められた。また、これらサイトカイン産生とカスパーゼ1の活性化はIFN-α/β非依存的であった。さらに、カスパーゼ1の活性化が細胞外塩化カリウム濃度の増加に応じて阻害され、カリウムイオンの流出を誘導するnigericin存在下でH37Rv ΔRD1を感染させると、カスパーゼ1が活性化することが明らかとなった。以上の結果から、H37Rv感染でIL-18やIL-1β産生が誘導されるのは、菌のRD1領域に存在する遺伝子産物がカリウムイオンの流出を引き起こすことでカスパーゼ1の活性化が誘導されたためであると考えられた。BCGに対する防御免疫を担うT細胞は感染3週目には出現するが、その後感染の経過とともにその活性は抑制された。BCG感染6週目以降の脾臓では制御性T細胞数の増加や抑制性サイトカインであるIL-10産生は認められなかったが、抗原提示細胞上の抑制性補助分子PD-L1の発現の増強が認められた。また、PD-1欠損マウスではwild typeマウスに比べて感染6週目以降の菌の排除が亢進した。さらに、感染防御の発現に重要なIFN-γおよびTNF-α産生性CD4+T細胞数が、PD-1欠損マウスでは感染6週目以降も持続的に存在することが示された。これらの結果から、BCG感染後期ではPD-1/PD-L1経路を介したシグナルが感染防御に関与するCD4+T細胞の機能を抑制することが示され、これがBCG感染を成立させる要因となることが考えられた。結核菌の病原性に関与するPPE37はMAPK経路を阻害することで炎症性サイトカイン産生の抑制に関与することが示唆された。
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http://bisei15.mb.med.kyoto-u.ac.jp/