研究概要 |
ブドウ球菌食中毒症は年間多数の患者が報告される重要な疾患であり、主症状が激しい嘔吐であるという特徴を持つにもかかわらず、その病態の解明はほとんど進んでいない。そこで、主としてBALB/cマウスを用いて、フィールド電気刺激に対する消化管の張力応答と投与エンテロトキシン用量との定量関係の解析を行った。フィールド電気刺激(frequency:10-500Hz, duration:0.5msec, intensity:10-40volt,10-100tr4ains)に対する小腸の張力応答は多相性を示し、全ての小腸領域において、刺激開始後約1秒後にpeakを持つ早い収縮応答、続く短い弛緩の後刺激開始後約2.5秒後にpeakを持つ第二の収縮応答が見られた。ブドウ球菌エンテロトキシンA(1μg/ml)を組織液に添加すると第二の収縮応答の張力に著しい増大が認められた。この第二収縮応答は、NOS阻害剤であるL-NNA処理によって増大し、reserpineによって抑制される成分であることから、モノアミン系の興奮性伝達物質によって惹起されているものと推察された。毒素濃度とフィールド電気刺激によって誘発される小腸張力増大との間における相関関係について現在解析を進めている。更に、平成21年度においては消化管神経叢とりわけAuerbach神経叢の神経細胞間情報伝達におよぼすブドウ球菌エンテロトキシンの影響に焦点を絞って解析を進める予定である。
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