病原細菌であるレジオネラは宿主細胞にエフェクターと呼ばれるタンパク質群をIV型分泌系と呼ばれる固有の分泌装置によって直接輸送し、宿主細胞の運命を改変することにより感染を達成する。我々が同定したレジオネラエフェクターのひとつLubXは真核生物で多彩に機能するユビキチンリガーゼ(E3)の活性を持つ。LubXのC末25アミノ酸残基はレジオネラエフェクターに共通した輸送のためのシグナルを持つが、同時に宿主細胞内局在を規定し、また細菌内でのタンパク質レベル調節にも寄与していることが我々の予備実験より示唆された。このことから、LubXが感染に際して適切に機能するために、C末領域は重要な調節機構を担う領域であると考えられる。 C末領域を介したLubXの発現と輸送の分子機構を理解するために、我々はLubX C末領域と相互作用するレジオネラタンパク質の同定を試みた。レジオネラ抽出液を用いたプルダウン法とMALDI-TOF MSによりLubX C末に特異的に相互作用する複数のレジオネラタンパク質を同定することに成功した。これらのタンパク質がどのようにLubXの発現と宿主細胞内での機能調節に関与しているかを調べる実験を現在進めている。
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