研究概要 |
本研究では、リンパ球への肺炎クラミジアの感染モデルや培養細胞株を用いたマクロファージへの感染モデルを用い、肺炎クラミジア感染に伴う宿主細胞のシグナル分子やアポトーシスに関与する分子の分子会合の有無やリン酸化、切断、ユビキチン化およびその他の修飾の有無,量的な変化,マイクロRNA(miRNA)発現の変動などの点に着目しながら、生化学的、分子生物学的手法を用いアポトーシスや細胞周期の制御におけるクラミジア感染の影響について解明することを目的としている.本年度はクラミジア感染による宿主細胞のアポトーシス誘導について、および感染成立による宿主細胞のアポトーシス誘導シグナルからのアポトーシスの回避について、また、細胞周期の調節についてはクラミジア感染により細胞増殖がどのように調節されるかについて生化学的、分子生物学的に解析した.さらにはアポトーシス誘導についてはmiRNAの発現に関しても検討を行った.その結果、幾つかの宿主細胞においてはクラミジア感染のみによっては宿主細胞にアポトーシスを誘導しないこと、また、クラミジア感染成立後の宿主細胞はアポトーシス抵抗性をもち、アポトーシス誘導剤によってもアポトーシスが誘導されないことなどが明らかになった.細胞周期研究においてはクラミジア感染により細胞増殖が抑制されること、細胞周期のプロファイルに影響がでることなどが明らかになった.以上の結果がどのような機構によるかについては現時点では明らかになっていないが、今年度確立したmature form miRNAの発現測定法により、その一端を明らかにすることを次年度検討したい.
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