研究課題/領域番号 |
19590449
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
友安 俊文 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (20323404)
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研究分担者 |
田端 厚之 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 助教 (10432767)
長宗 秀明 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (40189163)
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キーワード | 感染症 / 細菌 / 連鎖球菌 / シャペロン / AAA+プロテアーゼ / DnaK / ClpP / Intermedilysin |
研究概要 |
グラム陰性病原細菌で観察されるストレス誘導型シャペロンやAAA+プロテアーゼによる病原性発現調節機構がグラム陽性の連鎖球菌において観察されるかどうかを検討する目的で研究を行った。その結果、平成19年度に脳や肝臓などの深部臓器膿瘍や難治性歯周病の原因菌であるStreptococcus intermedius(SI)を用いてストレス誘導型シャペロンDnaKをコードするdnaK遺伝子とAAA+プロテアーゼのペプチターゼ領域をコードするclpP遺伝子の破壊株の作成に成功した。また、これら破壊株の病原性について培養細胞(HepG2株)を用いて検討した結果、dnaK破壊株のみに顕著な病原性の低下を認めた。そこで、平成20年度はSIのDnaKの機能について重点的に解析を進めた。なお、DnaKはコシャペロンであるDnaJとGrpEが共同して働くことにより活性を示すことからDnaKシャペロンシステムと総称される。まず、dnaK破壊株の相補株を連鎖球菌-大腸菌シャトルベクターを用いて作成したところ、dnaK破壊株表現型である温度感受性や成長遅延の表現型を相補することに成功した。また、SI DnaKシャペロンシステムの細胞内での機能について大腸菌を用いて検討した結果、SI DnaKシャペロンシステムは大腸菌のDnaKシャペロンシステムと同等の機能を有していることを確認した。なお、SI dnaK破壊株の病原性の低下の理由について解析を進める過程で、ウシ胎児血清がSIの主要な病原因子であるヒト特異的細胞溶解毒素intermedilysin(ILY)の分泌を著しく増加させる事を明らかにした。そこで、この条件で野生株とdnaK破壊株のILY分泌量を比較した結果、破壊株で分泌量が1/10程度にまで減少することを観察した。なお、相補株のILY分泌量の回復は野生株の半分程度の不完全なものであり、培養細胞に対する病原性の低下は回復しなかった。以上の結果から、SI DnaKシャペロンシステムもグラム陰性病原細菌と同様に病原因子の分泌や病原性をコントロールしている可能性が高いと考えられる。
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