研究課題/領域番号 |
19590452
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
立野 一郎 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (50311642)
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研究分担者 |
長谷川 忠男 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (10314014)
井坂 雅徳 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教 (40336673)
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キーワード | A群連鎖球菌 / 劇症型 / NADase / Nga / IFS |
研究概要 |
A群連鎖球菌は、古くから咽頭炎、猩紅熱などの原因菌として知られていたが、1900年頃を境に劇症型感染症の起因菌となる例が報告されるようになった。NgaはA群連鎖球菌によって菌体外に分泌されるタンパク質(約450アミノ酸)で、培養細胞に対し障害活性を示す。また、Ngaは細菌自身にとっても毒性を発揮するので、菌自身はIFSタンパク質を発現することによりNgaの毒性を中和する。この毒素活性故Ngaは菌が引き起こす劇症型感染症に関与しているとおもわれているが、直接的な証拠はない。そこで、本研究ではNgaタンパク質のNADase活性に関与する領域および、劇症型感染症との因果関係についての解析を行った。【方法】以前と以降の代表的な4株と7株のnga遺伝子の塩基配列を決定した。さらに、GST-Nga融合タンパク質を構築し、推定アミノ酸配列と活性との関連性を解析した。劇症型感染症患者由来のA群連鎖球菌のnga遺伝子を破壊し、マウスに投与した。【結果と考察】遺伝子の塩基配列から推定されるNgaのアミノ酸配列は1989以前の株と1990年以降の塩基配列で97%(438/451a. a.)の相同性を示した。1990年以降のGST-Nga融合タンパク質が、NADase活性を示したのに対し、1989年以前の株由来のGST-Ngaは活性を示さなかった。この活性の違いは、330番目のアミノ酸の違いに起因していた。親株の致死率が71%(5/7)であったのに対し、Δnga株では0%(0/3)であった。以上の結果からNADase活性+のNgaが劇症型感染症に関与していることが示唆された。
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