研究課題/領域番号 |
19590454
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
松本 壮吉 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (30244073)
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研究分担者 |
吉村 満美子 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助教 (20438229)
和田 崇之 大阪市立環境科学研究所, 微生物保健科, 研究員 (70332450)
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キーワード | 薬剤耐性 / 感染症 / 翻訳 / 細菌 / リボゾーム |
研究概要 |
これまでの研究から、抗酸菌特異的蛋白質MDP1は菌の増殖定常期以降に発現し、結核菌の休眠に関与すると考えられている。そこで速育型抗酸菌であるM. smegmatisを親株として、MDP1欠損株および欠損株に再度MDP1を入れ戻した株について薬剤感受性の変化を比較したところ、休眠時の抗酸菌に無効であるといわれている蛋白合成阻害剤ストレプトマイシンについてMDP1欠損株において顕著な薬剤感受性の増加が認められた。そこでストレプトマイシンの作用部位であるリボゾームにおいて、MDP1の直接的な結合による競合阻害の有無を調べたところ、リボゾームへのストレプトマイシンの結合はMDP1による影響を受けないことがわかった。MDP1には転写や翻訳を抑制する活性があることがわかっていることから、薬剤代謝に関与する何らかの分子の発現調節をMDP1がおこなっている可能性が示唆された。そこでMDP1の発現が増加しはじめる対数増殖期後期から定常期にかけてのM. smegmatis野性株およびMDP1欠損株の菌体からRNAを抽出し、マイクロアレイによる遺伝子発現の比較をおこなった。その結果、これまでに報告されているストレプトマイシンの耐性に関与する遺伝子の発現については有意な増加もしくは減少は認められなかったが、代謝に関する遺伝子および転写因子遺伝子について発現の大きな変動がみられた。これら変化の見られた転写因子のいずれかが、さらに下流の遺伝子発現に影響することで薬剤感受性の変化をもたらしている可能性が示唆されるため、現在さらにこれらの遺伝子について解析中である。
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