結核菌蛋白質MDP1のリボゾーム結合能に由来する翻訳阻害と薬剤耐性機構

2008 年度 研究成果報告書

• 研究課題/領域番号: 19590454
• 研究種目: 基盤研究(C)
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 一般
• 研究分野: 細菌学(含真菌学)
• 研究機関: 大阪市立大学
• 研究代表者: 松本 壮吉 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (30244073)
• 研究分担者: 吉村 満美子 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助教 (20438229)
• 研究期間 (年度): 2007 – 2008
• キーワード: 潜伏感染 / 薬剤耐性 / 抗酸菌 / リボゾーム / 結核

研究概要

抗酸菌に特異的なヒストン様蛋白質であるMycobacterial DNA-binding protein 1 (MDP1)の薬剤感受性にかかわる作用を調べた。その結果、MDP1は抗酸菌の薬剤感受性に関わることが判明した。この作用はMDP1分子による直接的な薬剤の競合阻害ではなく、リボゾームに結合することによって生じる構造変化や、複数の薬剤代謝経路を遺伝子発現を介して制御する作用によるものであると推察された。

研究成果

• [雑誌論文] Virulence of Mycobacterium avium complex strains isolated fromimmunocompetent patients (2009)
  • 著者名/発表者名: Tateishi, Y., Y. Hirayama, Y. Ozeki, Y. Nishiuchi, M. Yoshimura, J. Kang, A. Shibata, K. Hirata, S. Kitada, R. Maekura, H. Ogura, K. Kobayashi, and S. Matsumoto
  • 雑誌名: Microb Pathog 46 ページ: 6-12
  • 査読あり
• [雑誌論文] Lipocalin 2-dependent inhibition of mycobacterial growth in alveolar epithelium (2008)
  • 著者名/発表者名: Saiga, H., J. Nishimura, H. Kuwata, M. Okuyama, S. Matsumoto, S. Sato, M. Matsumoto, S. Akira, Y. Yoshikai, K. Honda, M. Yamamoto, and K. Takeda
  • 雑誌名: J Immunol 181 ページ: 8521-8527
  • 査読あり
• [雑誌論文] Potent antimycobacterial activity of mouse secretory leukocyte protease inhibitor (2008)
  • 著者名/発表者名: Nishimura, J., H. Saiga, S. Sato, M. Okuyama, H. Kayama, H. Kuwata, S. Matsumoto, T. Nishida, Y. Sawa, S. Akira, Y. Yoshikai, M. Yamamoto, and K. Takeda
  • 雑誌名: J Immunol 180 ページ: 4032-4039
  • 査読あり
• [雑誌論文] Structural analysis and biosynthesis gene cluster of an antigenic glycopeptidolipid from Mycobacterium intracellulare (2008)
  • 著者名/発表者名: Fujiwara, N., N. Nakata, T. Naka, I. Yano, M. Doe, D. Chatterjee, M. McNeil, P. J. Brennan, K. Kobayashi, M. Makino, S. Matsumoto, H. Ogura, and S. Maeda
  • 雑誌名: J Bacteriol 190 ページ: 3613-3621
  • 査読あり
• [雑誌論文] Control of cell wall assembly by a histone-like protein in Mycobacteria (2007)
  • 著者名/発表者名: Katsube, T., S. Matsumoto, M. Takatsuka, M. Okuyama, Y. Ozeki, M. Naito, Y. Nishiuchi, N. Fujiwara, M. Yoshimura, T. Tsuboi, M. Torii, N. Oshitani, T. Arakawa, and K. Kobayashi
  • 雑誌名: J Bacteriol 189 ページ: 8241-8249
  • 査読あり
• [雑誌論文] Mycobacterium kyorinense sp. nov., a novel slowly growing Mycobact- erium sp. related to Mycobacterium celatum isolated from three patients with infections
  • 著者名/発表者名: Okazaki M, Ohnishi H, Ohkusu K, Hata H, Fujiwara N, Matsumoto S, Nishiuchi Y, Yonetani S, Fukugawa Y, Yamamoto M, Wada H, Sugawara K, Sejimo A, Kawamura C, Ebina A, Ezaki T, Goto H, and Watanabe T.
  • 雑誌名: Int J Syst Evol Microbiol (in press)
  • 査読あり
• [学会発表] From the functions of a protein to molecular pathogenesis of mycobacteria, 日本細菌学会雑誌 (2009)
  • 著者名/発表者名: 松本壮吉、小林和夫
  • 学会等名: 第82回日本細菌学会総会
  • 発表場所: 名古屋(64 : 1)
  • 年月日: 20090312-14
• [学会発表] 急速な臨床経過に合致した高病原性Mycobacterium avium-intracellulare complex菌株の同定。日本細菌学会雑誌 (2009)
  • 著者名/発表者名: 立石善隆、平山幸雄、尾関百合子、西内由紀子、吉村満美子、小林和夫、松本壮吉
  • 学会等名: 第82回日本細菌学会総会
  • 発表場所: 名古屋(64 : 1)
  • 年月日: 20090312-14
• [学会発表] 結核菌の増殖に対するヒアルロン酸の作用。日本細菌学会雑誌 (2009)
  • 著者名/発表者名: 平山幸雄、吉村満美子、尾関百合子、菅原勇、小林和夫、松本壮吉
  • 学会等名: 第82回日本細菌学会総会
  • 発表場所: 名古屋(64 : 1)
  • 年月日: 20090312-14
• [学会発表] 生活環境に分布するMycobacterium avium complexと臨床分離株の多型解析。日本細菌学会雑誌 (2009)
  • 著者名/発表者名: 西内由紀子、松本壮吉、立石善隆、鈴木定彦
  • 学会等名: 第82回日本細菌学会総会
  • 発表場所: 名古屋(64 : 1)
  • 年月日: 20090312-14
• [学会発表] Mycobacterium intracellulare由来血清型7,12,13型糖ペプチド脂質の構造類似性とオリゴ糖解析。日本細菌学会雑誌 (2009)
  • 著者名/発表者名: 藤原永年、中田登、中崇、水野淨子、合田麗奈、牧野正彦、吉村満美子、松本壮吉、前田伸司
  • 学会等名: 第82回日本細菌学会総会
  • 発表場所: 名古屋(64 : 1)
  • 年月日: 20090312-14
• [学会発表] 結核菌感染マイクロファージにおけるhypoxiainducible factor-1alphaの作用機構。日本細菌学会雑誌 (2009)
  • 著者名/発表者名: 岡真優子、小林和夫、松本壮吉
  • 学会等名: 第82回日本細菌学会総会
  • 発表場所: 名古屋(64 : 1)
  • 年月日: 20090312-14
• [学会発表] DNAワクチンを用いたMycobacterium DNA-binding protein 1(MDP1)のマウスT細胞エピトープの同定。日本細菌学会雑誌 (2009)
  • 著者名/発表者名: 鈴木大介、永田年、辻村邦夫、松本壮吉、小出幸夫
  • 学会等名: 第82回日本細菌学会総会
  • 発表場所: 名古屋(64 : 1)
  • 年月日: 20090312-14
• [学会発表] 抗酸菌の薬剤感受性におけるMDP1の調節機構の解析。日本細菌学会雑誌 (2009)
  • 著者名/発表者名: 仁木誠、吉村満美子、小林和夫、松本壮吉
  • 学会等名: 第82回日本細菌学会総会
  • 発表場所: 名古屋(64 : 1)
  • 年月日: 20090312-14
• [学会発表] 抗結核薬スクリーニング系の確立と実践。日本細菌学会雑誌 (2009)
  • 著者名/発表者名: 尾関百合子、原田誠、西内由紀子、山本三郎、小林和夫、松本壮吉
  • 学会等名: 第82回日本細菌学会総会
  • 発表場所: 名古屋(64 : 1)
  • 年月日: 20090312-14
• [学会発表] MDP1タンパクのマウスT細胞エピトープの解析/ Characterization of murine T-cell epitopes in Mycobacterial DNA- binding protein 1 (2008)
  • 著者名/発表者名: Suzuki Daisuke, NAGATA Toshi, MATSUMOTO Sohkichi, KOIDE Yukiko
  • 学会等名: 日本免疫学会雑誌38巻、第38回日本免疫学会総会
  • 発表場所: 京都
  • 年月日: 20081201-03
• [学会発表] Proteciton of DNA by mycobacterial DNA- binding protein (2008)
  • 著者名/発表者名: MATSUMOTO Sohkichi
  • 学会等名: 1(MDP1) by preventing the ironinduced Fenton reaction
  • 発表場所: USA.
  • 年月日: 20080708-10
• [学会発表] Mycobacterial DNA-binding protein 1 (MDP1)による増殖と細胞壁合成の同調メカニズム。結核 (2008)
  • 著者名/発表者名: 松本壮吉、尾関百合子、西内由紀子、藤原永年、吉村満美子、小林和夫
  • 学会等名: 第83回日本結核病学会
  • 発表場所: 東京(83 : 3)
  • 年月日: 20080424-25
• [学会発表] ヒアルロン酸の結核病巣における産生と局在。結核 (2008)
  • 著者名/発表者名: 平山幸雄、吉村満美子、尾関百合子、菅原勇、青木俊明、西内由紀子、小林和夫、松本壮吉
  • 学会等名: 第83回日本結核病学会
  • 発表場所: 東京(83 : 3)
  • 年月日: 20080424-25
• [学会発表] 抗酸菌の薬剤感受性におけるMDP1の調節機構の解析。結核 (2008)
  • 著者名/発表者名: 仁木誠、吉村満美子、松本壮吉、和田崇之、小林和夫
  • 学会等名: 第83回日本結核病学会
  • 発表場所: 東京(83 : 3)
  • 年月日: 20080424-25
• [学会発表] 結核病巣におけるヒアルロン酸の産生と局在。日本細菌学会雑誌 (2008)
  • 著者名/発表者名: 平山幸雄、吉村満美子、尾関百合子、菅原勇、青木俊明、西内由紀子、小林和夫、松本壮吉
  • 学会等名: 第81回日本細菌学会総会
  • 発表場所: 京都(63 : 1)
  • 年月日: 20080324-26
• [学会発表] Mycobacterium intracellulare 由来血清型 7,12型 glycopeptidolipid 糖鎖合成遺伝子の機能解析。日本細菌学会雑誌 (2008)
  • 著者名/発表者名: 藤原永年、中田登、前田伸司、中崇、水野淨子、牧野正彦、松本壮吉、矢野郁也
  • 学会等名: 第81回日本細菌学会総会
  • 発表場所: 京都(63 : 1)
  • 年月日: 20080324-26
• [学会発表] 結核菌感染における制御性T細胞の役割(2)日本細菌学会雑誌 (2008)
  • 著者名/発表者名: 尾関百合子、小林和夫、松本壮吉
  • 学会等名: 第81回日本細菌学会総会
  • 発表場所: 京都(63 : 1)
  • 年月日: 20080324-26
• [学会発表] 家庭浴室由来Mycobacterium avium complexの多型性と臨床分離株との相同性。日本細菌学会雑誌 (2008)
  • 著者名/発表者名: 西内由紀子、松本壮吉、立石善隆
  • 学会等名: 第81回日本細菌学会総会
  • 発表場所: 京都(63 : 1)
  • 年月日: 20080324-26
• [学会発表] 抗酸菌における増殖と細胞壁合成の同調機構 。日本細菌学会雑誌 (2008)
  • 著者名/発表者名: 松本壮吉、奥山めぐみ、尾関百合子、内藤真理子、西内由紀子、藤原永年、吉村 満美子、小林和夫
  • 学会等名: 第81回日本細菌学会総会
  • 発表場所: 京都(63 : 1)
  • 年月日: 20080324-26
• [学会発表] 抗酸菌の遺伝子発現および薬剤感受性におけるMDP1の役割。日本細菌学会雑誌 (2008)
  • 著者名/発表者名: 仁木誠、吉村満美子、和田崇之、小林和夫、松本 壮吉
  • 学会等名: 第81回日本細菌学会総会
  • 発表場所: 京都(63 : 1)
  • 年月日: 20080324-26
• [学会発表] Mycobacterial DNA-binding protein 1(MDP1)に見いだされたFerritin-super family蛋白質様活性 (2008)
  • 著者名/発表者名: 松本壮吉、尾関百合子、吉村満美子、藤原永年、西内由紀子、立石善隆、小林和夫
  • 学会等名: 第61回日本細菌学会関西支部総会
  • 発表場所: 京都
  • 年月日: 2008-11-08
• [備考] 松本壮吉、小林和夫、結核ワクチン研究の現状と展望、臨床検査 Vol.52 p1149-1153, 2008
• [備考] 松本壮吉、結核における特異性炎の形成メカニズムと結核対策研究の現在、医学のあゆみ、Vol.223 611-614, 2007
• [備考] 松本壮吉、尾関百合子、小林和夫、結核菌の新規病原因子MDP1の感染病態への関わり、感染炎症免疫Vol.37 98-101, 2007
• [備考] 松本壮吉、平山幸雄、小林和夫、結核菌の潜伏感染と内因性再燃の分子機構、新感染症学、日本臨床65巻増刊号 124-128、2007
• [産業財産権] コニカミノルタホールディングス株式会社、公立大学法人大阪市立大学 (2008)
  • 発明者名: 山本法明、松本壮吉
  • 権利者名: MDP1による微生物を凝集および/または沈殿させる方法
  • 産業財産権番号: 特願2008-172640
  • 出願年月日: 2008-07-01
• [産業財産権] コニカミノルタホ-ルディングス株式会社 (2008)
  • 発明者名: 松本壮吉、山本法明
  • 権利者名: MDP1を用いた炭水化物を有する物質の分離方法
  • 産業財産権番号: 特願2008-277012
  • 出願年月日: 2008-10-28