研究概要 |
黄色ブドウ球菌を、その保持するrestriction-modification systemを基に分類するPCRシステムを確立し、同じタイプの修飾酵素hsdを持つ受容菌と供与菌の系を確立した。一方で、市中獲得MRSAのもつ多様なSCCmecの構造決定を行い、新規SCCmecとして、type II.5(日本分離株),type Vi, IVj, type VII(スエーデン分離株),type III variant(インド分離株),type V(5&5C2)(日本および台湾分離株),type IX(タイ人由来),およびtype X(カナダ人由来)を報告した。type V(5&5C2)という全く同じ構造のSCCmecが染色体タイプの異なる日本分離株、台湾分離株、およびS. intermediusに保持されるという、SCCmecの水平伝播の傍証ともなる知見である。またS. haemolyticusのorfX下流に集積する数多くのpseudo SCCの構造を決定して行く中で、改めてmeco遺伝子複合体と呼んでいた挿入配列IS431を両端にもつ構造であるclass C2mec遺伝子複合体およびclass C1mec遺伝子複合体はcomposite transposonとして転移してきた可能性を示唆するdataを得た。これらの菌株及び各種実験系を用いてメチシリン耐性及びトランスポゾンTn554の伝達を試みた。しかし、いずれの場合もTn554の伝達は確認されたが、SCCmecの伝達は確認されず、メチシリン耐性の水平伝播は傍証の段階に留まった。
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