研究課題/領域番号 |
19590457
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
槇村 浩一 帝京大学, 医学部, 准教授 (00266347)
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研究分担者 |
山田 剛 帝京大学, 医真菌研究センター, 講師 (80424331)
西山 彌生 帝京大学, 医療技術学部, 教授 (10082231)
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キーワード | 白癬菌 / 動物モデル / 形質転換 / 病原因子 / 遺伝子破壊 / 遺伝子診断 |
研究概要 |
人口の20%にも上る白癬対策を講ずる上では、従来顧みられることなく放置されていた白癬菌の侵入因子(病原因子)およびその調節因子に関わる遺伝子のクローニングおよび形質転換、ならびに遺伝子破壊系の検討が必要である。そこで、白癬菌の主に侵入因子制御遺伝子破壊株と同野性株を用いた白癬動物モデル実験により、白癬の病原因子候補となっている侵入因子と感染成立とに関わる機序の解明を可能にする以下の研究ツールを研究・開発した。1)高率形質転換法としてのAgrobacterium tumefaciensを仲介とした遺伝子系質転換法(アグロバクテリウム法)と、多重形質転換体選択を可能とするために選択マーカーとして研究開発したG418を報告した。また、2)白癬菌Trichophyton mentagrophytes TIMM2789株のku80遺伝子ホモログであるTmku80遺伝子を相同組換えによって破壊したTmku80破壊白癬菌#49株を作出し、初めて任意の標的遺伝子を組み替えることが可能となった。本法によって、任意の標的遺伝子を相同組換えによりさらに破壊後、動物モデルに適用することで、この標的遺伝子破壊白癬菌と野生型白癬菌とを比較して、標的遺伝子破壊白癬菌の病原性が消失または低下した場合に、標的遺伝子がコードするタンパク質を病原因子として特定することが可能となった。3)併せて、動物モデルにおける白癬感染を定量的に評価する目的で、ヒト臨床にも応用可能な白癬菌の遺伝子診断法を併せて開発・報告した。以上の研究成果によって、国民病でもある白癬の病態、並びに「侵入因子の制御遺伝子を破壊した動物モデルによる白癬菌病原性発現過程を解析」するための基本的ツールが整備され、分子生物学的知見に基づいた白癬の予防・診断・治療に関わる新たな知と技術の創出が可能となった。
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