ガラクトシルセラミド(alpha-GalCer)で感作されたマウスにエンドトキシンを投与し、肺病変を伴う致死的ショックを誘導し、その肺病変形成メカニズムを解析した。alpha-GalCerを投与すると肺のNKT細胞が増加し、活性化し、肺局所でIFN-gammaが産生されることが明らかになった。その後、各種接着因子の発現が認められたが、とりわけVCAM-1の血管周囲での発現増強が著明であった。抗IFN-gamma中和抗体によりこのVCAM-1の発現は抑制されたことから、IFN-gammaによりVCAM-1が誘導されることが示唆された。さらに、肺でVCAM-1のカウンターパートであるVLA-4陽性細胞の著しい増加が認められた。抗VCAM-1抗体による細胞接着の阻止がこの致死的ショックの半数を阻止したことから、VLA-4細胞の浸潤が、肺病変形成に重要であると考えられた。alpha-GalCer感作マウスにエンドトキシンを投与することにより、肺でTNF-alpha、IL-6など炎症性サイトカインが産生され、血管透過性の亢進、血管傷害、細胞死も誘導された。これらのことから、肺への炎症性細胞の著しい浸潤が、エンドトキシン投与に対する準備状態と考えられた。そして、エンドトキシン投与が、これらの浸潤細胞から炎症性サイトカイン、メディエーターの誘発を導き、血管内皮傷害、組織障害が起こし、肺病変、呼吸不全を導き、致死的ショックを誘導すると推測された。
|