研究課題/領域番号 |
19590463
|
研究機関 | (社)北里研究所 |
研究代表者 |
渡辺 峰雄 社団法人北里研究所, 生物製剤研究所, 研究員 (40279245)
|
研究分担者 |
小松 栄司 社団法人北里研究所, 生物製剤研究所, 研究員 (70435543)
|
キーワード | 百日咳菌 / パラ百日咳菌 / 診断 / 再興感染症 / ワクチン / 赤血球凝集素 / Bordetella / 疫学 |
研究概要 |
百日咳の診断法として、日本では主に培養および血清診断が使用されている。しかし百日咳の培養は非常に困難なためその検出感度は低く、現実的でないといっても過言ではない。培養に代えてPCRの使用も可能であるが、健康保険適用がないこと、ごく少ない機関でのみしか信頼性の高い手技は行えないことなど問題が多く、臨床現場における実用性に欠けている。血清診断法は生菌が消失した後も診断が可能であること、多くの医療機関で実行可能なフォーマットであることから有用と考えられる。しかし現行の血清診断法はワクチンに含まれる抗原成分に対する抗体を指標としているため、ワクチン接種者と感染者の鑑別ができない。以上述べたように、百日咳患者を特異的かつ高感度に検出する十分な方法は存在しない。これが百日咳の流行状態の把握を困難にしている。 本課題では現行の特異性に欠ける百日咳診断法を改善し、正確な疫学調査に寄与することを目指し、百日咳関連菌の感染によって特異的に誘導される免疫応答を解析する目的で進行中である。平成19年度は、特異抗体検出系(二次元電気泳動、ウエスタンブロッティングおよびプロテオミクス解析)の最適化に早々に成功した。その後感染者血清または感染動物の血清を使用して感染特異抗体が認識する抗原の特定を試みた。その結果、百日咳菌感染者の血清が特異的に認識する百日咳菌菌体タンパク質を3分子同定した。パラ百日咳菌感染患者の血清は平成19年度に入手できなかったため、動物モデルにおいての検討となった。百日咳菌の場合と同様の手法を使用し、繊維状赤血球凝集素関連抗原を含む10分子を同定した。今回同定した抗原分子は、繊維状赤血球凝集素を除き現行ワクチンには含まれていないため、これらに対する抗体応答を指標とすることで感染者のみを検出する方法が確立できる可能性がある。
|