研究課題
基盤研究(C)
本研究ではレンサ球菌の生体内拡散性規定因子を分子レベルで同定し、その機能を変異体菌株や遺伝子改変マウスを用いた実験にフィードバックスすることで、劇症型レンサ球菌感染症の発症・重症化の機構の解明を試みる。レンサ球菌は既に複数菌株でゲノム解析が完了している。そこで菌体側の因子検索には感染モデルから回収したレンサ球菌についてその病原因子発現を遺伝子レベルで解析する。またマウスモデルでのin vivo実験および培養細胞への定着性の低さを指標とするin vitroでの拡散実験を行う。すでに構築済みの劇症型感染症のマウスモデルにおいて病原性の異なる菌株のパネルを用いてこれらを実施することで、菌のマウス病原性、病原因子発現、拡散性の3 者間の相関解析を行い、多数存在するレンサ球菌病原因子の中から菌側因子を絞り込む。マウスの生体内拡散性と培養細胞付着性の間の関係を検討した結果、培養細胞に付着性の低い菌株はマウスにより高病原性であることを明らかにした。これらの高病原性株はマウスに腹腔内投与した場合にもマウス体内からの回収性が高かった。菌株間の病原因子発現レベルと培養細胞への付着性およびマウス病原性を比較したところ、付着性や病原性の差異と相関して発現変動する病原因子は認められなかった。これらの結果は、マウス高病原性株がマウス体内器官への付着性が低いことを示すものであり、劇症型感染症においては菌株の病原性は宿主細胞定着性よりもむしろ宿主内拡散性により反映されることを示すものである。またこのような宿主内拡散性は臨床分離株において一つの病原因子で規定されるのではなく、複数の因子の作用の総和と考えられることが明らかとなった。
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http://www.imcj.go.jp/rese/top/j/publications.html#06