研究課題
エイズ治療薬はHIVの増殖を抑制できるが、HIV感染細胞自体は排除できない。我々は、ワクチンを用いた方法とは異なる、感染細胞を排除する新しい方法を考案した。AAVキャプシドの一部を抗体結合ペプチドに置換し、ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子あるいはGFPを発現する改変型AAVベクターを作製した。これらのAAVベクターカ価は従来のAAVベクターとほぼ同程度で、キャプシドを改変しても、AAVの性質は変化しないことを確認した。リンパ系Jurkat細胞はそのすべての細胞表面にCD3を発現しているが、キャプシド改変したAAVは抗ヒトCD3抗体の存在下においても、Jurkat細胞の30%に感染可能であった。ウイルスとCD3抗体の量を増やすことによって、感染率を増加させることができると思われる。一方、マウスの脾臓リンパ細胞の約50%がCD4陽性T細胞であり、改変したAAVと抗体存在下においてのみCD4+細胞に感染可能であった。更に、抗HIV抗体存在下において、HIV感染細胞に感染が成立した。以上より、キャプシド改変AAVベクターは抗体存在下において、抗体の標的細胞に感染可能となることが明らかとなった。現在、AAVベクター、抗体量および細胞感染条件を検討し、HIV感染細胞にヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子を発現するAAVベクターを感染させ、ガンシクロビル作用時における感染細胞の減少量を検討している。更に、キャプシド改変型AAVを使用したin vivoでの検討も行う予定である。
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Gene Ther. 16
ページ: 218-228
J. Gene Med 11
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J. Gene Med. (in press)