研究課題/領域番号 |
19590489
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
佐藤 卓 秋田大学, 医学部, 助教 (40375259)
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研究分担者 |
小内 伸幸 秋田大学, 医学部, 講師 (50323605)
手塚 裕之 秋田大学, 医学部, 助教 (30375258)
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キーワード | Nod1 / Cross-priming / Dendritic cell / Cytotoxic T lymphocytes |
研究概要 |
昨年度の研究において我々は、いくつかのiE-DAP誘導体が、Nod1を介して樹状細胞(DC)における可溶性抗原のクロスプレセンテーション能を亢進させる効果があることを見いだした。これらの知見を踏まえ、本年度は、その詳細な分子メカニズムを遺伝子発現解析から明らかにするとともに、そのin vivoにける細胞障害性T細胞(CTL)のプライ・ミング効果をマウス腫瘍モデルを用いて評価することで、臨床応用の可能性についても検討した。 可溶性抗原のクロスプレゼンテーションは、DCサブセットの中でも特にCD8α^+DCによって担われているが、実際にNod1刺激は、CD8α^+DCサブセット特異的に、抗原/MHC-I複合体め細胞表面への表出亢進及び共刺激分子め発現亢進をもたらした。これに相関して、Nod1刺激は、CD8α^-DCに比べ、CD8α^+DCにおいて、Tap1、Sec61α1、calnexin、calreticulin及びcyctatin CといったDCのクロスプレゼンテーションに重要な役割を担う分子群の発現を、より効果的に増強した。 以上のようなNod1刺激によるCD8α^+DCのクロスプレゼンテーション能の亢進が、実際にin vivoでの抗原特異的なCTL誘導に影響するかを、マウス腫瘍モデルを用いて検討した。OT-I細胞と抗原(OVA)のみ、あるいはOT-I細胞、OVAとNod1リガンドを予め投与した野生型マウスに、OVAを発現する腫瘍細胞株を移植し、その宿主における増殖の程度を観察したところ、Nod1リガンドの投与では、未投与マウスに比べ腫瘍増殖の有意な抑制を認めた。以上の結果は、Nod1刺激を利用したより効果的な癌免疫療法の可能性を提示するものと考えている。
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