従来、私たちはマウスにIL-18を投与することにより、CD4T細胞からIL-13を産生させ、気管支喘息を誘発させるという実験系を確立し、これが人において気管支喘息が感染により増悪するという病態モデルになり得ることを提唱してきた。本研究では対象をIL-18と相同性を有する新規サイトカインIL-33に変え、外来性に投与したIL-33の気管支喘息誘発モデルにおける役割を解析した。 野生型マウスにIL-33を4日間連続投与し、β-methacholineを吸入させると、気道抵抗の上昇、肺胞気管支洗浄液(BALF)中の好酸球増多、気道上皮細胞からのムチン産生の増加が認められた。この現象は成熟T細胞、B細胞を欠くRag2欠損マウス、Rag2欠損マウスに抗asialoGM1抗体を投与し、成熟T、B、NK細胞を欠いたマウスでも認められた。さらにIL-13欠損マウス、肥満細胞を欠くWWvマウスでも認められた。IL-18投与の実験系においてはCD4T細胞から産生されたIL-13が本質的な役割を果たすことに対し、IL-33投与による喘息誘発のメカニズムは全く異なるものであることが分かった。現在、IL-33の標的細胞は気道上皮細胞か肺胞マクロファージである、との仮説を検証する実験を行っている。またIL-13非依存的に好酸球を遊走させ、気管支平滑筋を収縮させるメカニズムについても検討を行っている。
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