研究概要 |
平成19年度の研究で、マウスにIL-33を投与し、β-methacholineを吸入させると気道抵抗の上昇、肺への好酸球遊走、気道上皮細胞からのムチン産生の増加が認められ、この実験系は自然免疫型の気管支喘息モデルを提供することが分かった。同時に種々の遺伝子欠損マウスを用いて、IL-33の標的細胞の探索を行ったが、T細胞、B細胞、NK細胞、肥満細胞以外の細胞であるということしか分からなかった。平成20年度においてIL-33の標的細胞の探索を続けたところ、肥満細胞と好塩基球の両者がIL-33のレセプターであるIL-33Rα鎖を発現しているにも拘らず、IL-33による刺激に反応して好塩基球だけがIL-4を産生することが明らかになった。IL-33刺激を受けた好塩基球はIL-4以外にもTh2サイトカインであるIL-6,IL-13,IL-9や、ケモカインであるRANTES, MIP-1α, MIP-1β, MCP-1を著明に産生した。また、naive CD4 T細胞をTh2細胞に分化させるとIL-33Rα鎖の発現が上昇するので、IL-33刺激はTh2細胞に対してeffector cytokineであるIL-5,IL-13の分泌を増強させることが分かった。要約すると、IL-33投与は好塩基球にIL-4の産生を促し、naive CD4 TをTh2細胞に分化させること及び分化後のTh2細胞に作用することにより、気管支喘息を惹起、増悪させている可能性が示唆された。
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