研究概要 |
申請者はPDC-TREMが活性化PDC形質細胞様樹状細胞特異的膜分子であること、PDC-TREMがTLR刺激後のIFN産生調節に重要な役割を担っていること、を明らかにした。すなわちPDC-TREMに対する特異的モノクローナル抗体を複数樹立することに成功し、形質細胞様樹状細胞をToll様受容体活性化物質で刺激し抗体存在下、非存在下におけるI型IFN産生量をELISA法によって確認したところ、著しい産生抑制が見られた。一方、リガンドであるSemaphorinを作用させることにより、PDC-TREM依存的にI型IFNが産生されることも見出した。以上の結果から、PDC-TREMは形質細胞様樹状細胞のI型IFN産生増強に重要な分子であることが明らかとなった。今年度は研究実施計画に則り、下流のシグナル伝達分子とI型IFN産生性との関連について焦点をあてて詳細な検討を行い、Phosphoinositide 3-Kinase並びにExtracellular signal-regulated kinase1/2がPDC-TREM依存的にリン酸化されることを見出し、さらに各々の特異的リン酸化阻害剤を作用させることにより、I型IFN産生が抑制されることも見出した。本研究成果については、"PDC-TREM,a plasmacytoid dendritic cell-specific receptor,is responsible for augmented production of type I interferon"というタイトルでPNAS誌(105巻、8号、2993-2998頁)に論文として発表するとともに、プレスリリースを行い、20紙を超える新聞さらに100件を越えるインターネット記事として紹介された。さらに、PDC-TREM遺伝子欠損マウスの作製に成功し、PDCにおけるToll様受容体認識後のI型インターフェロン産生増幅に必須の分子機構を担っていることを明らかとした。
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