従来の臨床実習を通じた臨床腫瘍学教育の中で不十分であったインターネット環境を整え、がん治療における基本知識を確認するために学生自らが、各種がん治療の標準療法の確認と最新治療の情報を厚生労働省、FDA(米国食品医薬品)、NCI(米国国立がん研究所)やPDQ(Physician Data Query)などのがん情報・医療情報サイトより検索できるようにした。がん診療には基本的な、効果判定基準であるRECIST(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors)ガイドラインでの評価方法と有害事象の程度判定基準であるCTCAE(Common Terminology Criteria for Adverse Events)を教授し、担当外来がん患者さんに関する標準療法と今後の治療方針等の検討をまとめ病歴要約書を作成させた。これを各自が症例報告としてプレゼンテーションを行い、主任研究者とディスカッションを行ない、がん診療に必要な知識の再確認とその習得を確実なものとした。更にがん患者情報データベースを用いて臨床腫瘍学に必要な有害事象の評価とその対策の基本的な考え方を教育し、がん診療にあたる基本的な概念を養うようにした。また文献的考察能力を養うために臨床試験に関する論文をTAPS(Trial Assessment Procedure Scale)による評価を行ない、氾濫するがん情報の中から高品質なものだけを選びぬく能力を取得するように教育した。当該年度前半のアンケート調査の結果、がん医療に興味は持つものの、従来の教育システムでは十分には臨床腫瘍学の系統的な講義を受けられず、参考資料も皆無であることが判明し、平成19年11月22日に80頁にわたる「京都大学医学部附属病院外来化学療法部臨床実習の手引き」第3版を発行し、学生の教本とした。
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