平成19年11月22日に80頁にわたる「京都大学医学部附属病院外来化学療法部臨床実習の手引き」第3版を発行し、学生の教本として臨床実習を通じた臨床腫瘍学教育を行った。がん治療は「がん」を診るものだけでなく、「がん患者」を診ることであることを強調し、がん治療とは緩和治療が基本にあって、その上で抗がん治療が成立していることを診療に立ち合わせて伝授した。学生自らが、がん治療における基本知識や各種がん治療の標準療法、最新治療の情報を確認できるように、厚生労働省、FDA(米国食品医薬品)、NCI(米国国立がん研究所)やPDQ(Physician Data Query)などのがん情報・医療情報サイトより検索する手段を教授し、効果判定基準であるRECIST(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors)ガイドラインでの評価方法と有害事象の程度判定基準であるCTCAE(Common Terminology Criteria for Adverse Events)を教授した。学生に病歴要約書をまとめさせ、各自がプレゼンテーションを行い、主任研究者とディスカッションを行ない、がん診療に必要な知識の再確認とその習得を確実なものとした。更にがん患者情報データベースを用いて臨床腫瘍学に必要な有害事象の評価とその対策の基本的な考え方を教育し、がん診療にあたる基本的な概念を養うようにした。また文献的考察能力を養うために臨床試験に関する論文をTAPS(Trial Assessment Procedure Scale)による評価を行ない、氾濫するがん情報の中から高品質なものだけを選びぬく能力を取得するように教育した。これらをまとめて第46回日本癌治療学会総会でのパネルディスカッションでパネリストとして発表を行った。
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