第1研究:亜急性期病床の実態調査:平成19年1月から12月の1年間、A病院の亜急性期病床の実態調査を行った。同病床を退院した患者は39名であった。平均年齢83.43歳(全国平均:75.6歳)、平均一般病床入室期間は12.1日(同28.5日)、平均亜急性期病床入室期間は34.8日(同32.6日)、合計入院期間は46.9日(同61.1日)であった。 1.アウトプットデータによる分析:(1)疾病構成:ICD-20の分類で整理。筋骨格系及び結合組織の疾患、損傷で半数を占めた。(2)入室目的:集中的リハビリ、次いで症状コントロール、在宅復帰の順であった。 (3)保険点数については、亜急性期病床入室期間では1日あたり2373点であった。 2.アウトカムデータによる分析:(1)在宅復帰率:復帰率82%(全国調査は87%)であり、算定要件である60%を上回った。(2)病床利用率:62%と低迷した。(3)1ケ月以内の再入院率:25%とやや高値であった。再入院の理由は、退院後の症状悪化や転倒などである。(4)リハビリ算定:リハビリ前置主義のもと、一部の例外を除いてすべて算定した 3.課題:(1)病床利用率の向上:急性期病院からの転入は40%にとどまっている。在宅療養者の急性憎悪は60%を占めた。安定的な病床運営には、前方連携による患者の確保が重要である。 (2)在宅復帰率が全国平均より下回っている。入院患者が高齢であること、家族が期待するほどADLが改善していないことから、特別養護老人ホームや老人保健施設への入所が微増した。 第2研究:フランス医療・介護制度の調査:平成20年3月25日〜31日までフランス医療・介護制度を調査した。 フランスでは亜急性期病床に対応する「中期入院医療機関」が整備され、日本と同様の入院機能を持っていた。また、急性期病院は医療ニーズの高い患者を退院支援する際、在宅入院制度を利用した集中的ケアマネジメントを提供する。これにより、平均在院日数を短縮し、在宅復帰率を高めている。
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