研究概要 |
I.研究目的を達成するための研究計画・方法 前回の研究でSHAに準拠した保健医療支出を推計し、次にOrdered Probitモデル情報源として得られたデータを、次のように処理・整理した。 (1)セグメント化と患者プロフィールを駆使し、患者データベースをデータマイニングする。 (2)最も予防効果の高い患者から最も低い患者までスコアー化してセグメントに分類する。 (3)予防行動水準をe、その決定要因をxとして、以下の予防行動関数を定義する。 e=a10+a11χ+ε…[1] a1i:予防行動水準に与える影響を示す係数,ε:誤差項 予防行動の水準の決定因子としては、次のような変数が統計的有意な影響を与えた。運動習慣・体重管理・食事習慣の選択では、年齢・学歴・性差・地域差があることを明らかとなった。また、飲酒と喫煙に関しては、飲酒量の選択においては健康知識が、喫煙の選択においてはたばこ価格が重要であった。さらに個人レベルでの細かい対応を追及するため、データマイニングにより相関関係・因果関係を検索した。今回の研究で、データマイニングでパターン認識することで外生的シフト変数の検索を予測している。 I.予防政策の経済評価 予防行動水準は個人の選択変数であるため、予防政策の実施によって、この選択水準が変化する。 予防行動関数を定義すると、次のようになる。 e=a30+a31x+a32T+ε3…[2] a3i i=0,…,2:各要因が予防行動水準に与える影響を示す係数,ε3:誤差項,T:[1]式の予防行動関数を利用し、予防政策の実施を示す変数予防政策の実施は、予防行動水準自体の改善を目的にしているため、その係数a32の符号条件はマイナスが期待され事となる。 さらに、予防政策効果を医療費節約分で測定する m=b30+b31y+b32e+φ3…[3] e=a30+a31x+a32T+ε3…[4] b3i i=0,…,2:各要因が医療サービス需要に与える影響を示す係数 a3i i=0,…,2:各要因が予防行動水準に与える影響を示す係数,φ3,ε3:誤差項,T:[1]式の予防行動関数を利用し、予防政策実施を示す変数 [3],[4]より予防行動水準eの係数b32が統計的に有意となり、かつマイナスの符号を取る場合に、その予防政策の実施Tは医療費節約の点で効果が認められたことになる。このように、患者1人1人をターゲットに絞ることで、患者に付加価値医療サービスを提供することが可能となった。さらに、データマイニングによるセグメント化/クラスター化機能を組み合わせた手法により、満足度の高い高付加価値の医療提供の創出データを集積した。
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