抗がん剤の多くは、肝臓や腎臓で代謝・排泄されるが、体表面積(BSA)がこれらの臓器機能と相関するというはっきりとした根拠は存在しない。肝臓の代謝酵素(CYPやUGT1A1など)の遺伝子多型や併用薬が薬物動態に影響を及ぼし、その結果として副作用や有効性にも影響することがある。テーラーメード医療として、個々の患者における遺伝子多型や薬物動態を基に個々の患者における効果や副作用の確率を予想して投与量を調整する方法は、理論的に最も単純でかつ確実な方法である。 京都大学大学院医学研究科・医の倫理委員会にて承認された医師主導臨床試験において臨床研究実施計画書(プロトコール)に従って肝代謝の抗がん剤投与がなされた患者の中で、副作用や最大耐量(MTD)との関連が示唆されるAUC(Area Under the Blood Concentration-time Curve)やクリアランス(CL)などの薬物動態因子や薬物代謝酵素の遺伝子多型などの中から、重篤な副作用や最大耐量(MTD)と良く相関するだけでなく、臨床の現場において広く普及が可能な検査法の組み合わせを同定する。
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