研究課題/領域番号 |
19590535
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
北村 佳久 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (40423339)
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研究分担者 |
五味田 裕 就実大学, 薬学部, 教授 (00088709)
川崎 博己 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (60125151)
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キーワード | 治療抵抗性うつ病 / 抗うつ薬 / 視床下部-下垂体-副腎皮質系 / モノアミン / セロトニン / ドパミン / 脳内透析法 / 行動薬理学 |
研究概要 |
本研究は「治療抵抗性うつ病」の動物モデルの確立を目的に掲げ、一連の研究を通じて、「治療抵抗性うつ病」の病態メカニズムの解明および有効な治療薬の作用機序解明を進めていく。本年度の研究成果は以下の通りである。 1、下垂体ホルモンであるACTHを反復投与した視床下部-下垂体-副腎系過活動モデル動物を用いた各種抗うつ薬の抗うつ効果に与える影響 (結果)本モデルを用いて抗うつ薬であるイミプラミン・デシプラミン、フルボキサミン、ミルナシプランおよびタンドスピロンの抗うつ作用を検討した結果、すべての薬剤の抗うつ効果は消失した。一方、ドパミン神経作用薬であるブプロピオン、プラミペキソールおよびセレギリンの抗うつ作用はACTH反復投与モデルにおいても認められ、治療抵抗性うつ病に対するドパミン神経作動薬の有用性を明らかにした。 2、5-HT_<2A>受容体機能亢進作用に対する抗うつ薬の影響 (結果)ACTH反復投与によって5-HT_<2A>受容体は機能亢進作用を有し、その作用機序として5-HT_<2A>受容体数およびmRNA発現量の増加が関与していることを明らかにした。この5-HT_<2A>受容体機能の亢進に対してイミプラミンは抑制作用を示さないものの、ブプロピオンは抑制作用を示した。つまり、治療抵抗性うつ病の病態には5-HT_<2A>受容体の機能亢進があり、治療抵抗性うつ病の改善には5-HT_<2A>受容体の機能抑制が必要であることを明らかにした。 3、ACTH反復投与における脳内5-HT遊離機能を明らかにする目的で脳内透析法を用いて「治療抵抗性うつ病」の病態メカニズムの解明を行う。 (結果)5-HT_<1A>受容体作用薬である8-OH-DPAT投与による内側前頭前野における5-HT遊離量の減少作用はACTHにより減弱した。つまり、ACTHはpre-synaptic 5-HT_<1A>受容体機能の抑制作用を示すことが明らかとなった。
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