研究概要 |
初年度は、肝癌(HCC)細胞におけるID2の発現量と各種抗癌剤感受性との関連性を検討した。 すなわち、樹立した2種類のHCC細胞株(HepG2とHLE)の各ID2過剰発現クローン・ID2ノックダウンクローン・空ベクターを移入したコントロールおよび親株を用いて、スクリーニング対象である研究用医薬品を含む薬剤30種類の感受性をMTTアッセイにてin vitroで解析した結果、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)酵素阻害剤(薬剤AとB)の感受性とリンクすることが判明した。現在、ID2とこれらの薬剤感受性機構を解明すべく研究を進めている。この間、転写因子ID2による肝癌の悪性度制御にVEGFが関与することを発見しClin Cancer Res誌(Tsunedomi、 et al,2008)に論文報告するとともに、国内(第66回日本癌学会学術総会)および国際学会(15^<th> United European Gastroenterology Week)で発表した。また、肝癌の遺伝子解析を中心とした関連研究を国際論文(4報)にて発表した。 今後、ID2は転写因子であるため、その下流にどのような遺伝子がリストされ、これらの遺伝子がどのように薬剤AやBとの感受性に関与するのか、確認作業を行う予定である。
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